5本の指を均等にするためのトレーニングなんて、
必死に逆立ち歩きを習うようなものだ
こんなことを言うのはだいたいあの人、
そうピアノの詩人フレデリック・ショパン。
5本の(両手合わせれば10本の)指はそれぞれに個性があります。
弱い指にはそれなりの役割があるのです。
このような運指を見ると実感できることでしょう。
ノクターン(変ホ長調 作品9-2 )の終盤でドルチェ(意:デザート、甘く)がドルチッシモになる場面、この曲最大のきかせどころでメロディを弾くのはなんと4指と5指のみ!
弱い指だからこそ出せるニュアンス、それが求められています。
ドルチッシモの今にもとろけそうな響きが想像できます。
こんな運指は極めて稀で、斬新です。
でもそれが、ショパンです。
★以下余談
この、せっかくの独創的な、美しい運指をですよ。
なんですかこれは!?!?
某出版社(非常にお安くどこでも手に入ってしまう)から出ている楽譜なのですが、
頼むからこんな意味のない面白みのない美しくもなんともない常識的な運指に直すのはやめてほしいものです。