この曲(ノクターン 作品27-2)、最初に踏んだペダルを離すのは5小節目。
その間4小節、ペダルを上げることはないのですが、これ結構勇気がいります。
冒頭の左手に低いバスの音(レ♭)があります。この響きをうっすらと4小節間キープすることが狙いなのです。次にまた低いバスが出てくるまで、ってことです。
音楽的にどういう効果があるのかというと、ダンパーが解放されていますから倍音が豊かになります。踏みっぱなしのペダルで響く波のような左手のにメロディーが乗り、さらに響きが豊かになったところでクレッシェンドし頂点(第4小節 シ♭)を迎えます。
ここまで、使われている音を見てみると、2つの音(2小節目のミ♭と4小節目のシ♭)をのぞいて全て変ニ長調の三和音(レ♭・ファ・ラ♭)で出来ています。ミ♭とシ♭も変ニ長調の音階上の音ですから響きが濁ることはありません。
そこからメロディーは短2度を2回(赤)経て舞い降ります。短2度は濁ります。そろそろ限界かなという所で新しくバスが投入されペダルも踏み換えるわけです。そこの右手の音(これがまた解決されない強烈な音)にはアクセントがあり…と計算し尽くされています。
エキエル版、パデレフスキ版、ミクリ版、コルトー版等はもちろんショパンの指示に従っています。
それをですよ…
何ですかこれは!?!?
これじゃただの潔癖症ですよ。
確かに、現代のグランドピアノだと響き過ぎてしまうから、という気持ちもわかりますが…
こういうのは教育的配慮が過ぎるように思います。
こういう楽譜からは優等生みたいな演奏しか生まれません。
この楽譜は今でも沢山お店に並んでます(笑)
値段を見てしまうとね、これは1500円ですが、エキエル版は6000円ですからね。
そりゃ普及しちゃうよなあ。