ピアノ演奏における男女の相違


森本恭正さんの「西洋音楽論」にこんな一節があった。

 

「実際、作曲家はほとんど男性でした。男性が考えた音楽だから、求められているのは女性的な柔らかな音色です。演奏家ももっぱら男性だったから彼らが奏でる音色もまた、無意識的に柔らかくなる。逆に、現代の女性演奏家の音は剛直で男性的ですね。女性が弾くと音が柔らかい等と思うのは視覚に惑わされた偏見でしかありません。」

 

ピアノを弾く人間として、そしてピアノを教える立場の人間としても、このことには同感です。

 

柔らかさというイメージに重ね合わせるものは何か。

 

ピアノを弾く男性諸氏はおそらく、女性の肌特有のふわっとしたアノ感覚が頭をよぎるに違いない。

 

いやいやいや、男性陣とぼけるな、絶対そうだろう?男性が求める女性的な柔らかさって、そういうことだよな?!

 

逆はどうなのか、女性はフォルテの厳ついフレーズを弾くときにムキムキの筋肉を連想するのだろうか、と思い妻に聞いてみたら、どうやら違うらしい。

 

あるフレーズが男性的、あるいは女性的であるというキャラクターの違いは認識する。しかし男性的な性格のフレーズの演奏に際し具体的な肌の質感等のイメージはまったく頭にないらしい。そう単純ではないようだ。

 

「そもそも、ムキムキの人に触れる機会がない。あなたはブヨブヨだし…」

 

だそうだ。筋トレでもしようか。