演奏のために、アナリーゼ(分析)ってどの程度やるものなのか。
僕の考えはこんな感じです。
音楽を構成する音符は厳密なルールーに則って並んでいます。
その仕組みが分かり、楽曲に潜んでいる作曲者のこだわりや仕掛けが見えてくるのはとても面白いものです。
ですから楽譜は細かく見るに越したことはない。
音の順番だけじゃなく、楽語や記号、運指、どんな些細なアクセントも見逃すべきではない。当然です。
しかし、じゃあ重箱の隅をつつくような楽曲分析が良い演奏を生むのか?
と言われれば、それは僕には考えられません。
楽曲中のすべての和音の種類を書きだしたところで何がわかるというのでしょう。
僕は学生時代に暗譜の為にと、1曲をあらゆる観点から分析しノートを作成したことがあります。
正確に覚えることはできましたが、演奏はなんとも冴えないものでした。
そもそも音楽のすべてを明らかにしようなんてことは馬鹿げています。
ひとはなぜモーツァルトのソナタに出てくる単純な音階に感動するのか、だれか説明できるでしょうか。
音楽理論に精通し作曲家でもあった名教師、ナディア・ブーランジェの言葉が最強です。
「好きな人のことを考えて、その人の体内にどれだけのバクテリアと、薬と、ビタミンが余計に含まれているかなどということまで分析したいと思いますか?」 ナディア・ブーランジェ
この一言に尽きる(笑)