ショパン国際ピアノコンクールの真っ最中です。リアルタイムでの配信をご覧になって寝不足の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
3次予選が終わり、いよいよ本選を残すのみとなりました。ショパンの命日であります今日、コンクールはお休みです。
今回のコンクールでは、前回までに比べて随分と選曲の自由が認められており、それゆえに各々個性的なプログラムを組むコンテスタントが多くおられました。かつてはコンクールで耳にすることなど決してなかったであろう作品が演奏されることもあり、まさに新時代の幕開けを印象付けるコンクールとなっております。
私の個人的に好きな作品も沢山弾かれております。昨日の3次予選では「お手をどうぞ変奏曲op.2」を弾くコンテスタントが2名、それも最後の2人が。
モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」の中の有名な二重唱「お手をどうぞ」を主題に、17歳のまだうら若きショパンが自身の持てる技法の限りを尽くしたかのような、それはそれは難しい、大変に華やかな変奏曲です。
シューマンに「脱帽したまへ、天才だ」と言わしめ、ショパンの出世作となった、モーツァルトが主題のこの曲で3次予選が終わりました。
そしてショパンの命日である今日、10月17日、ショパンの心臓が眠る聖十字架教会ではモーツァルトのレクイエムが演奏されるのです。
2021年、ポーランドの首都ワルシャワでは、かくも美しい時間が流れているのでありました。
明日からはファイナルステージが始まります。